CHAOS - MAKING A NEW SCIENCE

を読み始めました。一昨日書いた「実は今月は盛りだくさんだった」というのと、近々読む必要がある。と言うことがわかってきたからです。
この本は、研究室に入ってすぐの頃、つまり去年の今ごろに一度読みました。でも、僕も微力ながらお手伝いをさせて頂きました、昨年10月のInternational Workshop on Chaos & Nonlinear Dynamics in Asukaで、上田先生はじめ、この本の登場人物を何人か直接お見かけしましたから、前回よりも楽しんで読めています。一番初めに、M.J.Feigenbaumさんが出てくるのですが、AsukaでのFeigenbaumさんを思い出すと、ここに書かれてあることもさもありなん。と思えてきます。


「カオス - 新しい科学を作る 第二章 革命」まで読了。



 ニューメキシコ州の片田舎に、ロスアラモスというちっぽけな町がある。一九七四年、この町でしばらくのあいだ警察を心配させるようなできごとが起こった。赤く光る煙草の火を裏通りの暗闇の中に漂わせながら、夜ごと徘徊する男がいるという噂が立ったのである。そのあたりのメサ(円卓状の丘)の希薄な空気を貫く、降るような星明りの中を、どこに行くでもなく、ただ何時間も歩きまわると言うのだ。これを気にしたのは警察だけではなかった。国立研究書では物理学者の何人かが、最近やってきた同僚が一日二十六時間単位の生活などというものを試みていることを耳にしていた。一日二十六時間と言えば、その男が目を覚ましている時間と、みんなの起きている時間との位相が、次第にずれたり合ったりを繰返すことになる。いくら変人ぞろいの理論部門でも、これは狂人すれすれの寄行だ。

ジェイムズ・グリック カオス - 新しい科学を作る 序章より