Res Gestae Populi Romani XII - TERTII SAECULI CRISIS

「迷走する帝国 - ローマ人の物語XII 第二部 ローマ帝国・三世紀後半 第二章」まで読了。

 残りの第三章も30ページほどなので、読めないこともないのですが、忘年会に遅れるとひんしゅくを買いますので、とりあえずここで中断して総括したいと思います^^;

 このXII巻に対する印象は、1年前の2003/12/30のDiaryに書いたものから大きく変わっていません。ただ、それでは進化のないことと言うことで、1つ付け加えるとすると、
「組織にとってのトップの存在とその方針が、どれほど大切かということが、興隆期・安定期のローマとXII巻の『迷走するローマ』を比べるとよく分かる」と言うことです。このことはXII巻のキーワード「政策の非継続性」とつながってくることですけれども、これまでのローマは皇帝が変わろうとも、ある種の「継続性」を確立できるシステムがあったのだと思います。統治システムもそうですし、軍事システムもそうです。その継続性が「トップの存在とその方針」への継続にもつながったのだと思います。たとえ皇帝が病死するなどのアクシデントがあったとしても「トップの存在」が変わることへの影響は少なかったと思うのです。
 その「継続性」がなくなったきっかけも、去年僕が書いた「首都ローマの空洞化」、「元老印階級の変質」などにあるのかなと思います。このように思うきっかけになったのは、やっぱり新生活をはじめたことと関係があるのかなぁ…。
 もう一つ疑問に思ったことは、カラカラ帝がローマの全自由民にローマ市民権を与えるとした「アントニウス勅令」はカラカラ帝1人の方針で決まったことではなく、元老院の決議も間違いなくあったと言うことです。このような内容なので、反対はできなかったのでしょうけれども、塩野さんの作中では元老院の対応に触れた箇所がないのが残念だなと思っています。