久しぶりにデカルトの方法序説を読みました。読み返そうと思ったのですが,なかなか時間が取れませんでした。100ページくらいの短いものなので,完全にさぼっていたわけですが…。研究すること,勉強することへの姿勢への示唆に富む作品だという印象は,高校時代に読んだときと変わりません。
http://ja.wikipedia.org/wiki/方法序説
論理学を構成しているおびただしい規則の代わりに,一度たりともそれから外れまいという堅い不変の決心をするなら,次の四つの規則で十分だと信じた。
第一は,わたしが明証的に真であると認めるのでなければ,どんなことも真として受け入れないことだった。言い換えれば,注意深く即断と偏見を避けること,そして疑いをさしはさむ余地のまったくないほど明晰かつ判明に精神に現れるもの以外は,何もわたしの判断のなかに含めないこと。
第二は,わたしが検討する難問の一つ一つを,できるだけ多くの,しかも問題をよりよく解くために必要なだけの小部分に分割すること。
第三は,わたしの思考を順序にしたがって導くこと。そこでは,もっとも単純でもっとも認識しやすいものから始めて,少しずつ,階段を昇るようにして,もっとも複雑なものの認識にまで昇っていき,自然のままでは互いに前後の順序がつかないものの間にさえも順序を想定して進むこと。
そして最後は,すべての場合に,完全な枚挙と全体にわたる見直しをして,なにも見落とさなかったと確信すること。Discours de la méthode 第2部 - René Descartes
しかしそのすぐ後で,次のことに気がついた。すなわち,このようにすべてを偽と考えようとする間も,そう考えているこのわたしは必然的に何ものかでなければならない,と。そして「わたしは考える,ゆえにわたしは存在する[我思う,ゆえに我あり]」というこの真理は,懐疑論者たちのどんな途方もない想定といえども揺るがしえないほど堅固で確実なのを認め,この真理を,求めていた哲学の第一原理として,ためらうことなく受け入れられる,と判断した。Discours de la méthode 第4部 - René Descartes