神の代理人

 ルネサンス著作集の第6作として発売されました。例の如く謎が謎を呼ぶメイキングを一番に読みました。このメイキングを読んでも、どうしてルネサンス著作集の刊行順序が、塩野さんが作品を発表された順番である、「チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷」→「神の代理人」→「海の都の物語」ではなく、「チェーザレ」→「海の都の物語」→「神の代理人」であったのかの謎は解き明かされませんでした。
 でも、この時期に「神の代理人」が出版された。と言うことは、タイミングがピッタリで、少々驚いています。テーマがテーマなので、メイキングにもいろいろと拾えるネタがありました。10ページもないので、興味がある人は読んでみて下さい。
 メイキングを塩野さんが書かれたころには、塩野さんは今回の事件はご存知でなかったでしょうし、また「神の代理人」はルネサンス時代の法王庁を扱った物語であることから、ここで出てくる「宗教」という言葉は、キリスト教と結びつきが強く、ほかの宗教との結びつきはそれほど強くはないと考えられます。僕の読み取りが甘いだけかもしれませんが。
 この「神の代理人」の出版のタイミングは、短期的にはものすごくピッタリ来ていますが、「ローマ人の物語」の方も時代の流れに乗っている気がします。12月のX巻をはじめとして、これからローマとキリスト教の関係が主要テーマとなる帝政の中期から後期に入るということを考えると。事件が「ローマ人の物語」及び、作家塩野七生に及ぼす影響を考えると、この事件はものすごく大きなファクターに成り得るかも知れません。
 少し前のことですが、アヤコさんのサイトのシニョーリア広場で「『マーくん語録』の中で、今回の事件と重ね合わせてあなたの関心が刺激された箇所を教えてください。」とのアヤコさんのお言葉が出たことに対して、僕は次のものを投稿しました。事件を見守る僕たちをはじめとして、各国指導者も念頭に入っていたのですが、塩野さんの作品についても頭の中にありました。もっとも、「神の代理人」はメイキングを読んで浮かんだだけで、そのときに僕の頭の中にあったのはX巻以降の「ローマ人の物語」でしたが。