メインイベント

 そのあとはこれまでに何度も行こうと言っていて、なかなか行く機会がなかったバーに行きました。そのバーは、前にそこのマスターが書いた本を読んでいたことをこのDiaryにも取り上げていた、スタア・バーです。

スタア・バーへようこそ

スタア・バーへようこそ

 お昼に行ったお店のオーナーさんからも、ほかの方からも、スタア・バーや岸さんについては何度もお話を伺うので、一度行ってみたかったお店なのです。今回は念願が叶って、はじめて行けることとなりました。
 まず、ビックリしたのはお店の場所と雰囲気です。銀座の地下にあるお店と言うことで、それなりのものだろうと、本を読んでいる時も、実際に行く時も考えてはいたのですが、いざ、お店を前にしてみると緊張してしまいました^^;
 もちろん、そこで引き下がるわけにはいかないので、そのままお店に行きました。地下にあるお店と言うことで、「ドアをくぐって入るのかな?」と思っていたのですが、階段からお店の中の様子がわかるようになっていて、そこからビックリしましたね。カウンターからお店にいらっしゃるお客さんがわかるようになっているのかな? と思ってみたりしたのですが、素人考えなのでしょうね。
 お店に入る前に、お店の方から「何人ですか?」と尋ねられたので、人数を言うと、「こちらにどうぞ。」と座席に案内して下さいました。ただ、そこの席には"Reserved"という札があったので、「本当にいいのですか? 待ってもいいのですよ」と言いました。すると、「予約席なのですが、少し遅くなっておられるようなので、結構ですよ。」と言って下さいました。まず、この最初のやりとりで、「素晴らしいお店だな」と思いましたし、「ヤレラタ」と思ってしまいましたね。
 その後に「どんなカクテルにされますか? 今は、秋の季節にあったフルーツをベースにしたカクテルがオススメです。」というような話から、お勧めのカクテルについて丁寧に説明して下さいました。まずは、そちらのカクテルを頂きます。ベリーと炭酸が利いた美味しいカクテルでした。
 そのあと、カウンターがあいたと言うことで、カウンターに移りました。そこで、マスターの岸さんとお話をさせて頂きました。僕は東京に行っても、言葉は変えませんので、すぐに大阪から来たということをおわかりになり、「大阪にはこの前に、行ったんですよ」と言ったようなことをお話ししていました。その後に、2杯目のカクテルと言うことになり、「柑橘系だけれども、すきっとするようなカクテルを」とお願いすると、僕がよく飲む「ギムレット」はいかがでしょう? と勧めて下さり、ギムレットを飲むことになりました。
 これまでも、何度も飲んだ「ギムレット」だったのですが、ライムのにおいと風味、そしてベースとなるジンが本当に美味しい「ギムレット」でした。印象深いギムレットですね。もう一度飲んでみたいです。
 そのあと、スタッフの方々といろいろお話をしていて、「どういう感じでカクテルを飲むのですか?」と言ったようなお話をしていると、「サイドカーを最初に飲んで、あとはいろいろ…」というお話を聞きました。ちょうど、そのころに「ギムレット」もなくなりかけていたので、3杯目に「サイドカー」を注文しました。
サイドカー」は難しいカクテルなのですか? とたずねると、
「難しいですね。ブランデーをベースにしたあと、他に混ぜるものが少ないので、難しいです。多くのものを混ぜるカクテルはゴマカシが利くのですが、サイドカーのように混ぜるものが少なく、シンプルなものほど、ゴマカシが利かないので難しいです。」
とのお返事を頂きました。シンプルなものほど難しいと言うことは、カクテルに限らず、多くの分野で当てはまることなのでしょう。
 このサイドカーもブランデーベースで美味しかったです。ブランデーの味とオレンジの風味の美味しいカクテルでした。ただ、この日記を書きながら、岸さんの「スタア・バーへようこそ」のサイドカーのレシピを見ているのですが、
岸さんのレシピで、ブランデー 45ml, オレンジキュラソー 10ml, レモンジュース5mlというレシピ。基本レシピでブランデー 2/4, コアントロ1/4, レモンジュース1/4とレシピで、想像以上にブランデーが多く入っていることにビックリしています。ベースは何か? ということは知っていても、割合まではなかなか知らないので、奥深いですね。飲み過ぎには注意です^^;
 このサイドカーを飲んでいた時に「そろそろ水が欲しいな」とだけ思っていて、何もお店には言わなかったときに、スッと水が出てきたことには一番ビックリしました。「どうしてなのか?」とお店を出てから一緒に行った人と話をしたり、自分でも考えてみたのですが、はっきりとした答えはわかりません。長年の経験が大きな要素なのでしょうけれども、この「水が出てきた」という出来事だけでも、素晴らしいことだと思います。この「水」に限らず、僕が自分でも気が付いてない自分自身のことに、スタア・バーのみなさんは気がついておられたのかもしれません。
 最後に、お店をあとにした時は、スタッフの方2名が階段をいっしょに登ってくださり、1Fの玄関までお見送りに来て下さいました。おそらく、
「角を曲がって、僕らの姿が見えなくなるまで立っていて下さるだろうから、角を曲がって姿が見えなくなる直前で振り返って、最後にお礼を言おう」と同行者に言うと、特に何も言わずにコクリとのお返事。見えなくなるところで、振り返って、お礼をすると、丁寧なお辞儀をして下さいました。
 まさに、「至福のひととき」という感じでしたね。また、ぜひとも行ってみたいです。もちろん、行く時はそれなりの準備と余裕が必要ですけれど。「至福」に見合うお値段でしたが、素晴らしい時間を過ごせたこと、素晴らしいお酒を飲めたこと、素晴らしいお話と応対をして頂いたことを考えると、相応の値段なんだろうと思っています。「『ドクターストップ』ということばもあるけど、『おさいふストップ』もあるよね。」というトークにもなりましたが^^;
 もういちど「スタア・バーへようこそ」を読み返したいですね。お店の印象が新しいうちに。