香山リカの通信講座の心理学

 3月号のMagazine ALC香山リカの通信講座の心理学は,示唆に富んでいる内容だったと思います。範囲が広すぎて手が付けられないという課題に対しては,まずは先人がやってみたことや,カリキュラムとして整えられた内容をやってみて,それから自分のやりたいようにやってみるという考え方は,通信講座に限らず,多くのことで応用できると思います。
 自分でどうするかを「判断」するためには,「判断」できるだけの前提知識と能力が必要になりますが,それらを身に付けるためには,まず基礎的な事項をきっちりと把握しておかないといけません。それをする手っ取り早い道は,やはり先を歩んだ人のアドヴァイスに従うことや,より整えられた方法を使ってみることが効率的なのだと思います。
 個人的な意見になりますが,ゆとり教育を小中学校で導入することに賛成できないのは,小中学校で学ぶ基本的な事項は,将来自分がどのようなことをどうやって習得,学習,身につけていくのか「判断」するための基礎となるものだからです。ここをきっちりと固めないと,何をもって「ゆとり」とするのか判断すること,また「ゆとり教育」が目指していた応用力の高さといった様な事項は達成できないと考えます。個人的な体験に通じるところがありますが,ある時期に基礎をとことん反復することや,何かに徹底的に打ち込んで自分の血肉として習得することができてこそ,前に進めることというのは多くの場面であると考えます。生きていく上で大切な,読み,書き,そろばんという基礎的な「教育」でそれを実践させないままに,基盤形成の時期を終えてしまうということは,やはり幸せではないんじゃないかなと考えます。