葬送 第2部 - 平野啓一郎

「葬送 第2部 二」まで読了しました。
少しずつ読んでいたのですが,なかなかまとめる機会がなかったので,今日のうちにまとめて書いてしまいたいと思います。ローマ人の物語の復習モードにも入っていますし。
 第1部の後半のサンド夫人と娘のソランジュ,そしてソランジュと結婚したクレザンジェのやりとりは何だか身近で考える材料がたくさんありました。やり方はいろいろありますが…。



 暖炉の前でそんなことを思い出しながら,彼はまさしくその完成の日のことについて考えた。

 あの日の喜びが,九年もの歳月に亘る途方もない労働の最後に相応しいものであったとは思えなかった。それは殆ど拍子抜けのするような,喜びともつかぬ喜びであった。本当にこれで終わったのであろうか? 今の何気ない一塗りが最後の加筆であったのだろうか? そんな疑いが彼を捕らえて放さなかった。

平野啓一郎 − 葬送 第一部 三十三 より
僕もこういう気分になったことが何度かあります。その中でも一番強かったのは修士論文を書き上げたときかな。「これでおしまい!」というきぶんは最後までならなかったような気がします。それでも,不完全燃焼というのとはまた別なのですけれどもね。