Divina Commedia - Dante Alighieri

「ダンテ − 神曲」天国篇第15歌まで読了。

 13日のDiaryにも書きましたが、やはり天動説で描かれている天国篇を読み進めるのは難しいですね。これまでの地獄篇、煉獄篇でも要求された西洋史フィレンツェに関する知識に加えて、キリスト教に対する知識もかなり要求されます。読んでいてもよく分からないところが、これまでの2篇に比べて多いですし。
 ただ、天国篇を読んでいると、中世末期のヨーロッパ人の天体運行に関する知識が天動説によるものであっても、整理されていることに驚きます。そして、その天体が天国と直接結びついていることにも。キリスト教の聖人たちや天使などが天動説の天国の中にも整然と格付けされ、それぞれの天において神の恩寵に預かっているというような記述を読んでいると、コペルニクスなどによる地動説が当時のヨーロッパにもたらした影響は、想像以上に大きいのだろうと、強く考えるようになってきています。
 死後の安住の世界と考えている天国について、今考えている構成が間違っていて、すべて1から構築しなおさなければならないという説が出され、それが正しいことを裏付けるデータが多く出てくると、人々に与える影響も大きなものになるのでしょうね。
 地動説を唱えることで、異端という話になってくるということには、「どうしてそこまで…」と思うこともあったのですが、ダンテの神曲を通じて、当時の人々にとっての天国の在り方を大きく変える考えであったことを知るようになってくると、異端という話が出てくるのもあり得ると考えるようになってきました。
 この例に限らず、宗教とは余り関係のない事項が、実は宗教的な側面もあるというようなことは案外多いのかもしれません。少しでも慎重に…というスタンスが大切なのでしょうね。