ウェブ人間論 - 梅田望夫,平野啓一郎

 昨日に引き続き,新年の第2段目としてこの作品を読了しました。

ウェブ人間論 (新潮新書)

ウェブ人間論 (新潮新書)

 後書きには「ウェブ・人間論」と「ウェブ人間・論」の間を往来していると梅田さんは書いておられますが,昨日書いた「境界」に関する話が多かったのではないのかなと思って読みました。
「リアルの世界」と「Web上での世界」それぞれ個別のものと考えるのか,両者が混在した世界と考えるのか? 個人的には,僕の英語に対する取組と同じで,Webはリアルの世界の道具に過ぎないと思っています。Webは使う側と使われる側の両方に大きな影響を与える道具と言うことで,言葉と似たような意味合いがあるのだと思っていますが,どうなのでしょうか?
「リアルの世界」と「Webの世界」は区別して考えようと思えば区別できるのでしょうが,やはり現実の世界と相互に影響しあうものであり,「境界」は漠然としていると考えます。その「境界」もしくは,分けられた両世界で人間がどのような行動をし,影響を受け,変わっていくのか。その方向性を示したという本で,本書は楽しく読めました。将来がすべてこの本で示唆された通りになるかどうかはわかりませんが,思索をしたというプロセスが大切なのだと思います。
 シリコンバレーで生活をしておられ,情報技術をメインフィールドとして活躍していらっしゃる梅田さんと,文学を生業としておられる平野さんとの対談というのが,この作品のような方向になったのは自然な流れなのかなと思って読み進めていました。

 また,作中で触れられていたのですが,平野啓一郎さんと近藤淳也さん(id:jkondo)が同い年だったんですね。
 以前から書いていることですが,平野さんは私の3年上ということで,私と同世代を代表している作家だと考えており,「日蝕」,「葬送」などの作品を読んでいます。近藤さんも年齢が近いということもあるとともに,はてなのサービスや考え方に共鳴するところがあり,使い続けているところがあります。ただ,「年齢は同じ」と言うことには気がついていなくて,これまでお2人をリンクさせて考えていることはまったくしていませんでした。お2人で「3つ上の同い年」という共通項が加わってくると,見方も変わってくるのかなと思っています。心に留めておこうかなと思っていることです。