文明の憂鬱 - 平野啓一郎

「文明の憂鬱」 憧れの「大リーグ」まで読了しています。

文明の憂鬱 (新潮文庫)

文明の憂鬱 (新潮文庫)

 平野啓一郎さんのエッセイ集の「文明の憂鬱」を読み始めています。1作が文庫本で8ページほどと短いエッセイが集まって作品となっています。2000年からの出来事をもとに執筆されておられるエッセイですから,ネタとなっている出来事には馴染み深いですし,それに対する平野さんの洞察力や文章力は,やっぱりすごいなと思います。僕の3つ上なので,ほとんど同世代と考えてもよいかと思うのですが,僕がDiaryでありきたりのつまらない考えを書いているのに対して,平野さんは深く考察されしっかりとした文章を書いておられます。やっぱり考察するということは,疑問とそれへの回答,回答に対する疑問を検討して…という一連の流れが必要なのでしょうね。平野さんの分析を参考に,少しでも自分が深い考察ができるようにならないといけないなと思っています。

 今日は成人式ですが,成人式に関する考察もされておられます。2000年に高知での橋本大二郎知事に対する新成人の振るまいが問題になった出来事がありましたが,その出来事に対して。



 小学校に通っていた頃などには案外よくいたものである。突拍子もない機会をとらえてわざと人前でバカなことをやってみせ,思いの外笑いも起こらずに決まりの悪い思いをし,先生からは叱られて,()ねて見せたり,(しょ)げて見せたりする。 …(中略)…

 今回の報道の中でも,イヤなら初めから来なければいいといった意見を述べている人もいたが,それは彼らの生態についての根本的な不見識で,人が沢山集まる厳粛な場所であればこそ,彼らは喜び勇んで参上するのである。彼らは従って,「新種」というわけではなく,いわば発見場所が新しかったというに過ぎない。そして,彼らの出現を準備したものは,結局式自体の緊張感の低下であろう。

平野啓一郎 − 文明の憂鬱 成人式及び「ヤンキー」の生理学 より
これに対するIwaoが書いたことは,2001/01/08のDiaryに書いた通りです。というわけで,「生態についての根本的な」見識が足りていなかったと言うことですねぇ。